主な病気と治療

全身

骨粗鬆症

こつそしょうしょう


正常な骨


骨粗鬆症の骨

骨は内部で古い骨を吸収し、新しい骨を形成します。この骨の吸収が形成より盛んになると、骨がスカスカになり、強度が下がった状態を骨粗鬆症といいます。女性に多くみられ、老化や閉経後のホルモンバランスの崩れ、偏食や過度なダイエットなどの生活習慣が原因となります。

治療方法

症状に合わせ、骨吸収抑制剤などの投薬治療をおこないます。骨粗鬆症は食事(栄養)と運動によって予防が可能です。カルシウム(1日800㎎)、ビタミンD、ビタミンK、タンパク質を含む食品の摂取、散歩や1分間片足運動、日光浴(15分〜30分程度)を習慣にしましょう。

頸椎症

けいついしょう


頸椎症のMRI画像

頸椎症は、首の椎間板と椎骨の変性によって首の脊髄が圧迫される病気です。症状は大きく3つに分けられ、首や肩甲骨付近に痛みや肩こりがでる局所症状、片方の首から手にかけての痛み、しびれがでる神経根症、両方の手足がしびれる、動きが悪くなる脊髄症があります。

治療方法

リハビリや首に巻くコルセット、神経ブロックや脊髄の神経の血行を良くする薬の服用によって、症状が改善することがあります。また、神経の圧迫は前屈みになると和らぐため、歩行の際には杖をついたり、シルバーカーを押して腰を少しかがめるようにすると楽に歩けます。

野球肩

やきゅうかた

野球の投球動作によって生じる肩の痛みです。投球過多、フォーム不良、全身的要因(下肢、体幹、肩甲胸郭)によって、肩関節に負荷が加わり、発症します。肩関節前方のゆるみや筋肉、関節包の硬さ(特に後方)も原因となります。

治療方法

投球制限による局所の安静とフォームチェック、全身のコンディションを整えます。肩関節はストレッチによる拘縮の軽減、肩甲骨の可動性の回復を図り、腱板訓練で安定性を向上させます。上記のような治療をしても3ヶ月以上症状が改善しない場合、手術治療も考慮します。

野球肘

やきゅうひじ

成長時にボールを投げすぎることによって起こる肘の障害です。肘に過剰な負荷がかかるため、投球時や投球後に肘が痛んだり、肘の曲げ伸ばしや、急に動かすことが困難になったりします。

治療方法

投球制限による局所の安静が必要です。痛みを我慢して投球を続けると障害を悪化させてしまいます。その場合、手術が必要になることもあります。

背中

小児の脊柱側弯症

しょうに せきちゅうそくわんしょう

脊柱が横に10°以上曲がった状態を脊柱側弯症と呼びます。特に思春期の女子に多く見られる病気で、早期に発見して治療を受けることで進行を防ぐことができます。痛みなどの自覚症状がないため、片側の肩が高いなど姿勢に異常が見られたら、すぐに整形外科を受診しましょう。

治療方法

治療法は側弯の程度や年齢によって決まりますが、専門の治療装具を使って側弯の矯正、および矯正の保持をおこないます。治療装具は必ず専門医の指示に従って正しく装着してください。側弯が重度の場合は手術治療を考慮します。


施術前


施術後

腰部脊柱管狭窄症

ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう


神経ブロック

腰部脊柱管狭窄症は、加齢や労働、背骨の病気によって椎間板が変形し、脊柱管内の神経を圧迫して起こります。安静時にはほとんど症状がなく、背筋を伸ばして立ったり歩いたりすると、下肢(ふとももや膝から下)にしびれや痛みを感じて歩きづらくなります。

治療方法

治療法は薬物療法や牽引療法、マイクロ波などによる温熱療法などがあります。痛みが強い場合は、神経の痛む場所に局所麻酔薬を注射する神経ブロック療法を実施します。このような保存療法を試した上で、症状が長期化する場合は手術治療を考慮します。

腰椎分離症

ようついぶんりしょう


ななめからのレントゲン写真

10代前半のスポーツに取り組んでいる若者に多く見られる病気で、身体を反らすと痛むなどの腰痛がでます。これは背中を反らす、ジャンプなどの運動をくり返すうちに、細くて弱い腰椎の後方部分に力がかかり、ひびが入って起こります。

治療方法

初期段階の「ひび」は再びつきます。原因となった運動や競技を休止し、コルセットで腰を固定して「ひび」の部分に力を入れないようにしましょう。しかし時間の経過した「ひび」は再びつくことが期待できないため、痛み止めやストレッチで痛みをコントロールします。

股関節

変形性股関節症

へんけいせいこかんせつしょう


正常な股関節


臼蓋形成不全症


変形性股関節症

主な症状は歩行時の足のつけ根の痛みです。立ち上がりや歩き始めに足のつけ根が痛むようになり、悪化すると靴下をはく動作や、正座、和式トイレの使用も痛みによって困難になります。末期になると足のつけ根が伸びなくなるため、膝頭が外を向くようになります。

治療方法

この病気は体重の増加に気をつけることが大切です。日頃から水中歩行や水泳などで臀部周囲の筋力を鍛え、日常の歩行では、股関節の負担を軽減するため杖をつきましょう。痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤の服用や外用薬が有効です。

マレット変形

まれっとへんけい

ボールなどが指先に当たったことで起こる、突き指の一種です。指の第1関節が曲がった状態で腫れや痛みがあり、自分で伸ばそうとしても伸びない状態のことをいいます。指を伸ばすスジ(腱)が切れたものと、骨折をともなうものの2つのタイプがあります。

治療方法

腱が断裂している場合は、専用装具で患部を固定する保存療法がおこなわれます。骨折をともなう場合は手術を必要とすることがあります。

ヒザ

半月(板)損傷

はんげつばんそんしょう

半月は膝関節のクッションの役割を果たしている軟骨の板です。損傷すると膝の曲げ伸ばしに痛みや引っかかりを感じるようになり、ひどい場合は膝に水がたまることや、急に膝が動かなくなる「ロッキング」という状態になり、歩けないほど痛みます。

治療方法

半月板は加齢によって変形するため、40歳以上は少しの外傷でも損傷しやすくなります。若者でもスポーツ中に膝をひねる、転ぶなどの衝撃で損傷したり、靭帯損傷との合併で起こります。リハビリや抗炎症薬を処方する保存的治療を試し、改善しない場合は手術をおこないます。

ヒザ

オスグッド病

おすぐっとびょう

小学高学年から中学の発育期にスポーツをする子どもによくみられるもので、膝のお皿の下の骨(脛骨粗面)が出てきて、痛みを生じる病気です。成長期に膝を伸ばす力をくり返すことによって、太ももと膝をつなぐ成長軟骨部がはがれることが原因です。

治療方法

成長期に起こる一過性の病気なので、痛む場合はスポーツを控えましょう。痛みを強くさせないために、大腿四頭筋を伸ばすストレッチや痛い部分のアイスマッサージをおこない、痛みが強い場合のみ、薬の服用や湿布をしましょう。

ヒザ

シンスプリント

しんすぷりんと

運動時や運動後に、下腿(スネ)の内側に痛みを感じる障害です。陸上選手やバスケット選手など走ることが多い競技の選手、特に中学・高校で競技を始めたばかりの新人選手に多く見られます。症状を放置すると疲労骨折につながる場合もあり、注意が必要です。

治療方法

痛みが強い場合は運動量を減らし、アイスマッサージや外用薬の使用、膝を曲げてスネを伸ばすストレッチをおこないます。足底や足関節首位の筋肉強化、クッション性がよくかかとの安定したシューズを選ぶことも重要です。